朝起きて最初の一歩で、かかとがズキッと痛む。歩いているうちに楽になるのに、夕方にはまた痛みが戻ってくる。こうした痛みから足底筋膜炎(足底腱膜炎とも呼ばれます)を疑い、インソールを探している方は少なくありません。
靴の中敷き(インソール)は、足底筋膜炎の保存療法のひとつとして医療機関の資料でも挙げられている方法です。ただし、どのインソールでもよいわけではありません。効果が期待できるかどうかは、値段や知名度よりも「つくり」で決まります。
本ページでは、足底筋膜炎のインソールに求められる条件、かかとの痛みが足底筋膜炎かどうかを見分ける目安、市販品で足りる場合と足りない場合を、住吉鍼灸院・接骨院がわかりやすく整理して解説します。
足底筋膜炎のインソールに必要な2つの条件

足底筋膜炎のインソールを選ぶときに確認したいのは、次の2点です。
- 足のアーチ(土踏まず)を下から支えて保てること
- かかとに直接かかる負担を減らすつくり(くぼみ・衝撃吸収材)があること
足底筋膜は、かかとの骨から足指の付け根に向かって張っている膜で、土踏まずのアーチを弓の弦のように支えています。痛みが出やすいのは、この膜がかかとの骨に付着する部分です。
付着部には、アーチが沈み込むたびに膜を引っ張る力と、着地のたびに体重がかかる圧迫の力の両方が集中します。2つの条件は、この2種類の負担にそれぞれ対応しています。
アーチを保つ構造で引っ張られる負担を減らす
立つ・歩くたびに土踏まずのアーチは沈み込み、足底筋膜はかかとの付着部を引っ張ります。土踏まずの部分に盛り上がりがあり、アーチを下から支えるインソールは、この沈み込みを抑えて引っ張る力を減らす働きが期待できます。
医療機関で作られる足底筋膜炎向けの足底挿板(靴の中敷き)でも、アーチを保つための隆起が設けられています。市販品を選ぶときも、土踏まずに当たる部分に適度な高さと硬さがあるかを確かめてください。柔らかすぎて体重で潰れてしまうものは、アーチを支える力が弱くなります。
かかとのくぼみや衝撃吸収材で圧迫の負担を減らす
もう一方の負担は、着地のたびにかかとへかかる圧迫です。医療機関の足底挿板では、痛む部分に直接体重が乗らないよう、かかとにくぼみを作る工夫がされています。かかと部分に衝撃吸収材を用いることもあります。
市販品では、かかとをカップ状に包む形状や、かかと部分にクッション材が入っているものがこれにあたります。かかと全体が平らで薄いインソールは、この条件を満たしにくいと考えてください。
かかとの痛みが足底筋膜炎かどうかを見分ける方法
足底筋膜炎には、痛みの出方と場所に特徴があります。次の3つの特徴が当てはまるかを確認してみてください。
ただし、これはあくまで目安で、診断ではありません。当てはまる場合でも「足底筋膜炎の可能性が考えられる」という段階です。
朝の一歩目が痛み、歩くうちに軽くなり夕方に再び強まる
足底筋膜炎でもっとも特徴的なのが、痛みの時間的な変化です。
朝起きて最初の一歩でかかとに痛みを感じ、歩いているうちに少しずつ軽くなります。ところが、夕方になって歩いた量が増えてくると、また痛みが強くなってきます。
ランニングなどのスポーツでも同じ傾向があり、走り始めは痛く、続けるうちに軽くなり、長時間になると再び痛みが増します。
痛む場所がかかとの内側前方にある
足底筋膜炎で痛むのは、かかとの内側前方、足裏側から見てかかとの骨の前寄りの部分です。
この部分を指で押して痛みがあるかも、ひとつの目安になります。
痛む場所が違う場合は、別の原因が考えられます。かかとの後ろ、アキレス腱の付け根あたりが痛む場合は、かかとの後ろが痛む原因と対処法で詳しく解説しています。足指の付け根が痛む・しびれる場合はモートン病の可能性があり、モートン病でやってはいけないことをご覧ください。
階段の昇りやつま先立ちで痛みが増す
階段を昇るとき、つま先立ちをしたときに痛みが強くなるのも特徴です。
これらの動作では足指が反り、足底筋膜が引き伸ばされてかかとの付着部が引っ張られます。
3つの特徴がそろう場合でも、かかとの痛みには神経の圧迫による病気や、腱の部分的な断裂など、似た症状を示すものがあります。確定には医療機関での診断が必要です。
市販のインソールで足りる場合と足りない場合

市販のインソールで足りるかどうかは、値段ではなく2つの条件を満たしているかで判断します。
安価なものでも条件を満たしていれば選択肢になりますし、高価なものでも片方しか満たしていなければ効果は期待しにくくなります。
アーチの支えとかかとの保護がそろう市販品なら足りる場合がある
痛みが朝の一歩目や歩き始めに限られ、日常生活に大きな支障がない段階であれば、2条件を満たす市販品から試す選択肢があります。
ワークマンなど作業用品店のインソールも、判断の基準は同じです。同じ店のなかにも、土踏まずを硬めの素材で支えるタイプと、薄型で土踏まずのサポートがほとんどないタイプが並んでいます。価格が手頃なぶん、パッケージの説明だけで選ばず、土踏まずの盛り上がりとかかと部分の形状を実物で確かめてから選んでください。
試す際は、いま履いている靴に入れたときに窮屈にならないかも確認が必要です。靴の中が狭くなって足が圧迫されると、別の部位に負担がかかります。
かかとだけのインソールでは足りない場合がある
かかと部分だけに敷くタイプのインソールは、かかとへの圧迫を和らげる点で条件のひとつを満たします。
一方で、土踏まずのアーチは支えられません。
着地の衝撃が痛みの主な要因であれば一定の効果が期待できますが、アーチが沈み込んで足底筋膜が引っ張られていることが背景にある場合、かかとだけでは足りないことがあります。かかとだけのタイプで変化が乏しい場合は、アーチを支えるフルサイズのインソールへの切り替えを検討してください。
扁平足でアーチが低い場合はアーチの支えを優先する
土踏まずが低い扁平足は、足の障害が起こりやすい足の形のひとつとされています。
医療機関でも、アーチの低下が明らかな場合はアーチサポート付きの足底板が処方され、アーチを上げることで痛みの緩和が期待できるとされています。
扁平足の方が市販品を選ぶ場合は、かかとのクッションよりも土踏まずの支えを優先して確認してください。ただし、アーチが極端に低い方がいきなり高いアーチサポートを使うと、土踏まずが当たって痛むことがあります。低めのものから慣らし、合わない場合は無理に使い続けないでください。
外反母趾を併せ持つ場合は足指まわりのゆとりも確認する
外反母趾は、つま先の細い靴などで親指の付け根から先が圧迫されて変形が進みます。
足の縦と横のアーチが崩れることも変形の背景にあるとされ、アーチの支えは外反母趾側にとっても意味があります。
一方で、インソールを入れると靴の中が狭くなり、つま先が圧迫されやすくなります。外反母趾がある方は、インソールを入れた状態で親指の付け根がフィットし、指先にゆとりがあるかを確認してください。インソールの厚みで指先が窮屈になるなら、靴そのものを見直す必要があります。
出典:日本整形外科学会「足の慢性障害」/日本整形外科学会「成人期扁平足」/日本整形外科学会「外反母趾」
インソール以外に併せて行うこと
インソールは足底筋膜炎の保存療法のひとつですが、単独で行うものではありません。
医療機関の資料でも、ストレッチや靴の見直しと組み合わせる形で示されています。インソールだけに頼らず、次のことを併せて行ってください。
アキレス腱と足裏のストレッチを1日3セット以上行う
足底筋膜炎では、アキレス腱と足底筋膜のストレッチが勧められています。
足裏のストレッチは、足の指から足首にかけて手で反らし、足裏が伸びるのを感じながら行います。10回を1セットとして、1日3セット以上が目安です。
アキレス腱のストレッチは、壁に手をついて片足を後ろに引き、後ろ足のかかとを床につけたまま前の膝を曲げていく方法が一般的です。ふくらはぎからアキレス腱が伸びるのを感じる位置で止めてください。朝の一歩目が痛む方は、起き上がる前に布団の上で足裏を伸ばしておくのもひとつの方法です。
足の形に合った靴に替える
インソールは靴の中で働くものなので、土台になる靴が合っていなければ効果が出にくくなります。
靴の不適合は、足底筋膜炎の主な原因のひとつにも挙げられています。
かかとが靴の中で浮いたり左右にずれたりしないか、靴底がすり減って傾いていないかを確認してください。インソールを入れる前提で靴を選ぶ場合は、インソールを持参して試し履きすると失敗が減ります。
立ち仕事や歩く量を一時的に見直す
長時間の立ち仕事や歩行、体重の増加、ランニングやジャンプによる使いすぎも、足底筋膜炎の主な原因とされています。
スポーツで痛みが出ている場合は、練習量を減らすか一定期間休むことが勧められています。
仕事で立ち続けることが避けられない方は、休憩時に座って足を休める、休憩中にストレッチを入れるなど、負担が途切れる時間を作ってください。
当院でかかとの痛みの方に確認していること
住吉鍼灸院・接骨院に、かかとの痛みで来院される方の傾向と、施術前に確認している点をまとめます。
来院される方に多い訴え
当院には、1ヶ月で約5~10件、かかとの痛みを訴える方が来院されています。
特に、40〜50代の女性が多く、立ち仕事の方や、ウォーキングを始めたばかりの方が多い傾向です。
市販のインソールを持参された方に確認していること
市販のインソールを持参された場合は、次の点を確認しています。
- 土踏まずの盛り上がりが、ご本人の土踏まずの位置と合っているか
- 体重をかけたときにアーチ部分が潰れていないか
- かかと部分にくぼみやクッションがあるか
- 靴に入れたときに、かかとが浮いたり指先が窮屈になったりしていないか
もちろん、柔道整復師は診断を行うことはできません。足の状態や歩き方をみたうえで、医療機関での検査が必要と考えられる場合は受診をおすすめしています。
かかとの痛みで医療機関への相談を考える目安
インソールとストレッチは、痛みの原因が足底筋膜炎で、比較的軽い段階の場合に期待できる対処です。次のような場合は自己判断で続けず、整形外科などの医療機関に相談してください。
足裏のしびれや内くるぶしの下の腫れを伴う場合
かかとの痛みに足裏のしびれを伴う場合は、神経の圧迫による病気との区別が必要です。また、内くるぶしの下が腫れて痛む場合は、アーチを支える腱の傷みから起こる扁平足の可能性もあります。いずれも足底筋膜炎とは対処が異なります。
転倒や踏み外しなどのきっかけがある場合
段差を踏み外した、高いところから飛び降りたなど、はっきりしたきっかけの後に痛み始めた場合は、骨や腱の損傷が隠れていることがあります。インソールで様子をみる前に、状態を確認してください。
セルフケアを続けても痛みが変わらない、強くなる場合
インソールやストレッチをしばらく続けても痛みが変わらない、むしろ強くなっている、靴を脱いで安静にしていても痛む場合は、足底筋膜炎以外の原因や、状態が進んでいる可能性が考えられます。医療機関では、痛み止めの外用薬・内服薬や注射、重症の場合は手術など、状態に応じた治療が選択されます。
足のお悩みは神戸市東灘区の住吉鍼灸院・接骨院へ!

住吉鍼灸院・接骨院では、足に関するお悩みで多くの方が来院されています。
足の痛みを1日でも早く解消することはもちろん、痛みの原因を丁寧なヒアリングや観察から探り出すことにも力を入れています。
もちろん、インソールのご相談もお気軽にお尋ねください!丁寧に対応させていただきます。